創立110周年記念企画 秩父鐡道110年の軌跡
第2回 創業期(その1)
〜熊谷−寄居間開業〜
希望に満ちた会社設立から開業への道のりは非常にきびしいものでした。資本金90万円。株式1万8千株をもって募集に着手しましたが、株式への認識が薄い時代で成績は振るわず、わずか1万株の応募に過ぎませんでした。更に、日清戦争後の財界不況が重なり、工事が進むにつれ深刻な資金難に陥り、社長の柿原萬蔵氏をはじめ、重役諸氏は私財を投げ打ち、工費の支払いに充てるという状況でした。
開業当時の寄居駅
=開業当時の寄居駅=
熊谷=寄居間が開通したのは明治34年10月7日。
平坦地であるこの区間は難工事もなく終了しました。建設費は1哩につき34,660円余りで、開業当時は熊谷・石原・大麻生・武川・小前田・寄居の6駅でした。開業初年度の運賃収入は4,735円で、熊谷=寄居間の運賃は三等24銭でした。当時は米1キロが10銭で買えた時代なので、現在に換算するとこの区間の乗車運賃は約900円になります。